先週の火曜日、NHKテレビの『クローズアップ現代』で、脳梗塞や脳出血の後遺症で残ってしまった手足のマヒに対する最新のリハビリ情報が特集され、放送されました。
ワンプラスのご利用者さまは当然当事者であり、皆さん興味を持ってご覧になっていました。
放送が決定し、内容が事前に紹介されると、ご利用者さまの周囲がザワつきました。
「来週のクローズアップ現代、見なくちゃね!」と期待を大きく持ってお話をされていました。
さて、番組の内容は?
脳卒中のリハビリに関しては、慶応大学医学部が開発した「BMI療法」というリハビリ法の紹介でした。
BMI療法は、私が行う川平法(促通反復療法)とは親戚のような関係です。いわゆる「ニューロリハビリテーション」と言われる考え方に基づいた手法ですね。
川平法との大きな違いについては、マシンを使って行うのか、セラピストの手で行うのか、というのが一番だと思います。
番組では、後遺症を持った患者さまがBMI療法を1か月ほど受け、手指を使って物をつかんで離す動作が出来るようになった、とのことでした。
リハビリを受けられる前の手指の動作を確認できなかったので何とも言えませんが、職場に復帰してマヒした手を使って仕事をされ、喜ばれている姿を見ると、本当によかったなぁ、と感じます。
川平法と一緒??
さて、番組で紹介されていたBMI療法ですが、先ほど川平法(促通反復療法)とは親戚のような関係と言いましたが、どこが似ているのでしょうか?
それを説明するには、ニューロリハビリテーションの考え方の基本を押さえるべきだと思います。
ニューロリハビリテーションの基本は「脳には可塑性があり、繰り返し正しい興奮(=命令)を入れ続けることで脳が学習し、再び神経回路が活性化し随意運動を再獲得できる」ということです。
BMI療法の理論を簡単に整理すると、
1.「マヒした指を動かす」という命令を入れる
2.その命令(脳波)が正しいかどうかを機械が検知し判断する
3.その命令が正しかった場合、手に付けた機械が連動して命令通りの動きを再現する
4.その、正しい命令→運動 を繰り返し行い、脳に覚えさせる
5.機械に頼らなくても、自分の意志で指を動かせるようになる
といった感じでしょうか。
ご本人さまは「こういう命令の仕方をすると指が動くのか」ということを実感されると思います。
川平法では、精密な機械は使いません。頼りは熟練したセラピストの技です。
上記のBMI療法との違いで言えば
2.命令に合わせた動きを、反射などのテクニックを駆使して再現させる
3.命令と運動が正しく一致するようにセラピストが微調整を常に行う
くらいでしょうか。
どちらが優れているのか??
それではBMI療法と川平法のどちらがリハビリ法として優れているのか?という問題が残ります。
あくまで私の考えですが、BMI療法も川平法も一長一短だと思います。
今回の番組を見ていて、BMI療法が優れていると感じた部分は「脳波(命令)の正誤を機械が判断する」という部分です。川平法でも「はい、人差し指を伸ばして!」と声をかけ、実際に動かす努力をしていただきますが、本当にその命令が適切であるかどうかを瞬時に判断することは不可能です。BMIではそれを機械が判断してくれるので、リハビリを受けている方はとても分かりやすいのではないかと感じました。
一方川平法が優れているのでは、と感じる部分は、あらゆる関節運動に対する手技があることですかね。
肩・肘・前腕・手首・手指・股関節・膝・足首・足趾・体幹、すべてにアプローチが可能であること。これは圧倒的だと思います。
いずれにしても、BMI療法と川平法の考え方の基本は一緒だと思います。
再生医療などもたまに話題に上ったりしているようですが、まだその成果は確実に上がってきているとは言い難いレベルのようです。
まだ脳梗塞・脳出血後遺症リハビリの最先端はニューロリハビリテーションが走っていると言って良いのではないでしょうか。
まとめ
しかしニューロリハビリテーションが最先端だと言っても、万能ではありません。すべての利用者さまに満足いただける結果を必ず出して差し上げることが出来るかと言えば、まだ足りていないのも事実です。
BMIでも3割程度の患者さまには効果が認められていない、と率直に認めていました。
人間の脳の構造は複雑すぎて、分かっているようで分かっていないことがたくさんあるのでしょう。
でも「脳には可塑性がある」という大きな取っ掛かりをつかんで、それを何とかモノにして実際にモノにしかけているレベルにもあります。
決して現状に甘んじることなく、これからも手足のマヒに悩まれている皆さまと一緒に一歩一歩進んでいきたいと思いました。
そんな私が運営するワンプラスは大阪府寝屋川市にあり、脳梗塞・脳出血後遺症に対し川平法(促通反復療法)をマンツーマンで行っているデイサービスです。
大阪周辺には、自費で出張リハビリも行っています。
https://oneplusreha.com/addaccess
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