川平法(促通反復療法)とはどんなリハビリ法なのかを解説していきます

川平法とは?

脳梗塞や脳出血の後遺症に対するリハビリ法として注目を集めている『川平法(促通反復療法)』について、書籍の内容や自分が実体験で感じたこと、勉強会に参加して入手した情報も含めて、じっくりお話をしていきたいと思っています。

脳卒中に罹ると後遺症の心配が

脳梗塞や脳出血の総称である脳卒中、お年寄りが要介護状態になる原因の上位に入る主要な疾患であり、様々な後遺症が出現することの多いやっかいな存在です。
発症後およそ6ヶ月を経過するまでは、損傷を逃れた残存する脳の領域が、損傷領域が担っていた運動機能を肩代わりする活動が活発で、一度失われた機能を再び獲得することが出来ることが分かっています。
実際、発症後まったくベッドから動くことが出来なかった患者さんが、その後の懸命なリハビリで、立つことはおろか歩くことが出来るまで回復する例は珍しくありません。
ただ、発症から6ヶ月以上経過してしまうと、機能回復の活動が落ち着いてしまい、リハビリに取り組んでも、回復は望みにくいというのが今までの考えでした。

脳の可塑性

確かに発症後6ヶ月を経過してしまうと、機能回復が劇的に起こることは考えづらいという考え方にはある程度賛成します。
しかし、最近研究が著しく進んだ脳科学のおかげで、発症後何年たっても機能回復が望めることが分かってきました。それは「脳の可塑性」という性質をもとにしています。
「脳の可塑性」とは、脳を構成する神経とそのネットワークは固定したものではなく,脳には自分とその周辺の状況に応じて変化する能力がある、ということです。つまり、脳卒中によって損傷を受けた部位を助けるためにネットワークが変化して、もともとあった能力を再獲得できる、という考え方です。

ニューロリハビリテーション

脳の可塑性は、発症後何年たってもその性質は失われません。可塑性がある、との考え方をもとに、それを利用してリハビリを行えば、再び手や足が動き出すのでは?という切り口でリハビリについての研究がここ20年余りの間に行われるようになってきました。
ということで、麻痺した手足だけに着目するのではなく、それらに運動の指令を出す脳のメカニズムにも目を向け、その回復を図ることで麻痺の改善をめざす治療法の開発が進んできました。
この考え方をベースに生まれたリハビリ法をニューロリハビリテーションと呼びます。

川平法の登場

川平法は、鹿児島大学医学部の川平和美名誉教授によって開発されたリハビリ法です。促通反復療法とも呼ばれ、ニューロリハビリテーションの一種と考えていただいて良いと思います。
ニューロリハには、その他にもいくつかリハビリ法が提唱されていますが、川平法は手や足のほとんどの関節に対して手技がある、高価な機器は必要ない、医療や介護の公的保険制度を利用した施術が可能(リハビリ時間を長く取る必要はない)などの特長があります。

まとめ

進歩した脳科学のおかげで生み出された川平法。熟練さえすれば我々のような貧乏セラピストにも行うことのできる夢のような(笑)リハビリ法です。
脳卒中の後遺症に悩まされている患者さま、利用者さまの生活を少しでもより良いものにできるよう、日々努力して参ります!

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