川平法(促通反復療法)を効率よく行うコツ

川平法とは?

脳梗塞・脳出血後遺症であるマヒに対するリハビリ法の川平法(促通反復療法)。発症後何年たっても機能回復が期待できるアプローチ法ですが、闇雲に頑張ればそれで良いのかと言えばそうではありません。リハビリの量をこなすことはもちろん重要ですが、傷ついてしまった中枢神経の再構築にはそれに応じたコツのようなものがあります。今日はそんなお話をしてみようと思います。

脳のネットワーク再構築へ

脳には可塑性という性質があり、脳卒中に罹って一度壊れてしまったネットワークを別の形に変えて再び動かそうという働きがあります。川平法(促通反復療法)は、その脳の働きを十分に生かし、実際に手や足を再び動かそうというリハビリ法です。
川平法には、テクニックとしてのコツはもちろんあるのですが、リハビリを受けるご本人の行動にてついてのコツもあるんですね。セラピストと利用者の思いを一つにするのが川平法の成功の秘訣だと思っています。

出力(命令)をコントロールする

皆さん、次の3つの絵を見てください。
これは、脳卒中患者さんの手のマヒが回復していく過程での脳の活動の変化を追ったものです。

このA、B、Cの写真のうち、どの脳が最もリハビリ効果が得られた画像でしょうか?
正解はCです。
Aは脳全体が赤く染まり、脳は大変活性化しているので良好な状態であると思われがちですが、大雑把に言うと、これは、脳のいろんな部位からたくさんの命令が出てしまっている状態です。腕を挙げたいだけなのに、脇は開き、肘は曲がり、手首も曲がってしまい、手のひらはグーを作ってしまう・・・。いろんな命令が一斉に出てしまい、末梢である腕は本来やりたい動作とかけ離れた動きをしてしまうのです。
この混乱状態を整理して、本来やりたかった動作だけを再現させるように命令をコントロールできるように導くのが川平法(促通反復療法)なんですね。

命令系統の交通整理が必要

川平法は、単純な動作をひたすらに繰り返すリハビリです。同じ動作を繰り返し行うことで、傷ついてしまった命令系統を再び作りなおし、太くし、より確実な運動が行えるように仕向けるんです。
患者さんが力任せに思いっきり腕や脚を動かそうとすると、必ず意図していない運動も発現してしまいます。これがやっかいです。このままではいつまでたってもキレイな運動は出て来ないでしょう。
複雑に入り組んでしまった命令系統から、本来の運動を行うための命令だけをピックアップして鍛える事が必要なんですね。
実際のリハビリに取り組む際も、狙った動作だけが行えるようなセラピストの導きと、患者さんの意識がとても重要となります。

まとめ

普段何気なく行っている日常生活動作、これらは実に絶妙にコントロールおよび制御された脳のネットワークの優秀さから来るものなんです。脳卒中などでそのネットワークに支障をきたすと、回復するために多大な時間と努力が必要となります。
川平法(促通反復療法)は、最も効率的に機能回復を実現するための強力なリハビリ法のひとつです。
ワンプラスデイサービスでも、利用者さまの運動に変化がたくさん出てきています。
リハビリを行うときには毎回コミュニケーションを密に取り、利用者さまの運動が一番やりやすい状況を作り出すことを意識しています。
「これを続けていれば、いつかあんなことが出来るようになるかもしれない」という希望を常に持っていただけるように真剣に利用者さまと向き合っていきたいと思います。

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