川平法 重要なキーワード
我々セラピストは、理論的な部分から実践的な部分まで丁寧に説明し、同意を得た上でリハビリをしているつもりです。しかし利用者さまの立場で言えば、頭で分かっていても、体がついてこない状態になってしまうのでしょう。最初から私の思うとおりに動いてくれる利用者さまに出会ったことはありません。
この問題を乗り越えるために、私は出来るだけ簡単な言葉で伝え、シンプルに理解してもらうことが効果的なリハビリへの近道だと思っています。川平法のテキストや勉強会で出る「これだ！」と思える言葉をいつもメモして、利用者さまにお伝えするように心がけています。
というわけで、私が重要だと思う言葉、キーワードについてちょっとご説明したいと思います。
『頑張らずに、頑張る』
前回「脳はやったことしかできません」をキーワードとしてお伝えしましたが、今回の「頑張らずに、頑張る」これもとても重要な言葉となります。
脳梗塞や脳出血に罹り、半身マヒなどの後遺症を抱えてしまった方は、リハビリに取り組む際、とても頑張ろうとされます。
動かしたい関節に思いっきり力を入れ、可能な限り運動を再現しようとされます。しかしこれを行うと、ほぼ間違いなく目的の運動とは程遠い動きになると思います。
いわゆる「肩に力が入る」状態と言ってよいでしょうか。力みすぎて余計なところに力が入ってしまうわけです。
スポーツ選手などにも言えますが、余計な力を抜いてプレーをすることの重要性に近い感覚だと私は理解しています。
利用者さまと川平法を行うとき、口を酸っぱくして「はい、力を抜いて。息を止めずに～」と連呼しています（笑）
「頑張らない程度に、頑張る」。このニュアンスを理解していただくことが川平法の上達に大切なんですね。
頑張らないで頑張ると！
ワンプラスの利用者さまも、利用開始当初は、意気込みも強く、一生懸命私のリハビリについてこようとします。顔を真っ赤にして、促通運動を行います。
そんな時に、私は、思い切り運動した時とリラックスして状態で運動した時の結果を比べてもらいます。力任せ（思い切り）の運動の方がやりづらい事に徐々に気づいていってくれます。
最初は「頼りない」とか「運動した気分にならない」などの感想を漏らされることが多いですが、「頑張らないで頑張る」ことの重要さを理解すると、リハビリの進歩がワンランクアップします。
不要な運動を排除しましょう
肩に力を入れ、力み、運動を行うと、健常な人でも目的の運動の再現が困難になります。力みすぎたバッターがバットの芯でボールをとらえる確率は低くなるでしょう。つまり自分がやろうとしている運動を再現できなくなるわけです。
脳梗塞や脳出血の後遺症で悩まれている方は、健常者よりもその傾向が強く出ます。いわゆる「共同運動」とか「代償運動」と言われるものが原因です。
前者は脳からの命令が混線を起こして、本来動かす予定のなかった部分が勝手に動き出してしまうんですね。後者は、目的の運動を実現させるために無意識のうちに他の部位が助けるように動いてしまう事を指します。
いずれも川平法を使ったリハビリにはあまり好ましくない現象だと私は考えます。
目的とした運動を繰り返し行い、それを脳に覚えさせるのが川平法ですから、余計な運動は可能な限り排除します。
頑張りたい気持ちはわかるのですが、リラックスした状態で頑張りましょう。
そうは言ってもね・・・
と、川平法の教科書的に言ってはみても、現実には共同運動や代償運動なしにキレイな運動が再現されるなどという事は稀で、純粋に目的の運動だけを再現することは不可能に近いです。
というわけで私は、川平法に慣れていただくまでは、代償運動や共同運動は許します。どんな方法を使ってもまずは運動を再現すること。これを最優先にします。運動の再現が力強くなってきたころを見計らって、徐々に余計な運動を抑える方向に導いていきます。そうすると気づいた時には、キレイな関節運動が再現されるようになってきます。
自分なりに臨床での経験を生かして、自分なりの方法論を日々探っています。
まとめ
「頑張らずに、頑張る」。この意味を理解し、リラックスしたリハビリを繰り返し行うと、その効率は途端に上がると思います。成果も現れ、利用者さまのモチベーションも上がり、良い循環に乗っていけるようになります。そうなればこっちのものです。運動はどんどん広がっていき、腕も脚も動くようになってきてくれるんですね。
川平法にはコツがいくつもあります。これを忠実にマスターしてクリアしていくことで、今まで考えられなかったような成果を得ることが出来るようになります。
もちろんセラピスト側にもたくさんコツがあり、それをマスターすべく毎日努力しています。一緒に頑張りましょう。
ワンプラスは、川平法（促通反復療法）をマンツーマンで行っているデイサービスです。
大阪周辺には、自費で出張リハビリも行っています。
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