脳梗塞・脳出血後遺症を抱えた人の歩行練習について

川平法とは?

脳梗塞や脳出血、いわゆる脳卒中に罹ると、後遺症として一般的に半身マヒが残ります。
典型的な傾向はあるものの、細かく見れば、発症した人がいればそれだけのタイプがあります。
ワンプラスに通っていただいている利用者さまも、様々な問題を抱え、日々その課題と向き合い、リハビリに努力されています。
毎日一緒にリハビリをしている利用者さまから、よくこんな相談を受けます。
「先生、もっとうまく歩けるようになりたい」と。
確かに歩行は、移動の基本的な手段であり、要介護状態に多大な影響を与えます。自力で歩行が不可能、または不安定では、生活の幅が大きく制限されてしまいます。
自分の力で移動できることのありがたみを、どれだけの人が感じているでしょうか?
利用者さまから歩行についての相談を受けるたびに、普通に歩くことの重さをひしひしと感じます。
今日は「歩くこと」について考えてみたいと思います。

入院中にばっちり練習

脳梗塞や脳出血を発症した後、急性期病院や回復期病院で様々なリハビリを行うと思います。マヒの程度に合わせて在宅復帰に向けた生活動作の訓練をしっかりと受けるのではないかと思います。
歩行についてももちろんばっちりと。最近のリハビリは早期から行うことが良いとされている為「え、もうベッドに座らされて、立たされるの??」と戸惑った患者さまも多いのではないでしょうか。
リハビリ当初は、太腿から足先までを包み込んだ大きな下肢装具を着けられ、セラピストの先生に背後からがっちりと抱えられて、押されるようにしながらリハビリ室を往復しますよね。
そして努力の甲斐もあって、退院するころには装具は短くなり、杖を使って平坦な道なら自力で歩けるようになる、というのが一般的ではないかと思います。
急性期と回復期での努力が報われて、ご自宅に戻ることが可能になる、ということですね。

自宅でのリハビリは?

ご自宅に戻られてからのリハビリは、もっぱら訪問リハビリやデイケアなどを利用したものになると思います。ワンプラスでもデイケアや訪問リハビリとの併用をされている利用者さまはいらっしゃいます。
維持期に入った方の歩行のリハビリでよく聞くのが「マヒした側にあえて体重をかけましょう」とか「左右対称になる歩行姿勢になるように」とか「装具は外して歩いてみましょう」などといった指導を受けられていることです。
つまり健常者がするような歩行動作をいち早く手に入れることを目的として指導をされるセラピストが多いという印象を私は持っています。
健常者が普通に歩けるのは、マヒが無いからです。
その歩行練習の方針は、マヒについての検討が抜けた形での歩行訓練になってやしませんか?ということを感じます。

私の歩行訓練の方針は

私は利用者さまの歩行練習に取り組むにあたって、「非マヒ側の足の機能を最大限に使って歩く」をモットーとしています。
いわゆる「健側前型歩行」です。これは、川平法でも言われていることです。
マヒ側の機能訓練もそこそこに、非マヒ側と同じレベルの運動を求めても限界があるし、もし進歩があったとしても、とても効率が悪いのではないでしょうか。
非マヒ側の機能を十分に使い、マヒ側の弱い部分をカバーして歩いた方が安定もするし、歩行速度も間違いなく上がるし、長い距離も歩けると思います。

なぜこの方針でいくのか

私は「マヒのない方の脚を前に出して、マヒのある方はそれに追いつくようなイメージで歩いてください」と利用者さまにお願いすることが多いです。
非マヒ側の足が主導して歩ければ、より安定するし速度も上がるからです。
でも、こうした練習を繰り返していると「いつまでたってもマヒ側の脚が良くならないじゃないか」という指摘も出てくると思います。
いやいや、マヒ側の脚には川平法でみっちりと促通反復して機能回復に努めていますから。股関節から足関節までの促通とトータル的な運動制御の練習、バランス感覚を養う練習など、歩行練習とは別に時間を割いて、マヒ側の訓練も行い、レベルアップを図っています。
マヒ側の機能が上がってくれば、非マヒ側に頼る割合も減ってきて、より正常歩行に近づくことになるわけですね。

最終目的は同じです

他のセラピストさんの歩行練習の指導方針と私の指導方針は一見違うように見えますが、最終目的は一緒です。
できるだけ正常歩行に近づけることがその目的です。
目的は一緒なのですが、そこに至るまでの道筋が違うと考えればよいでしょうか。
歩くときは非マヒ側を十分に使って。その間マヒ側は川平法を中心にしてばっちりと機能回復に努めます。機能が追いつくまでは非マヒ側や装具に頼ってもやむを得ないという考え方です。いきなりマヒ側をフル活用した歩行を目指しても理論的に少々無理があるのではないかと考えています。
人間が生活する上で基本的かつとても重要な「移動の能力」について、真摯に考え得た結論です。

まとめ

川平法は維持期に入ってしまっても、マヒした手足に積極的にアプローチして機能を回復してしまおうという画期的なリハビリ法です。
ですから、歩行の再獲得についても他の人とは異なるアプローチ法を駆使できるわけです。
私の説明では不足していると思いますので、川平先生みずから歩行について説明されている動画のリンクを貼っておきますので、よろければご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=E_B8vom28og
この動画はセラピスト向けのものですので、やや難しいかもしれませんが、しっかりと解説しています。参考にしてください。

歩くことについて一生懸命考えている私が運営するワンプラスは大阪府寝屋川市にあり、脳梗塞・脳出血後遺症に対し川平法(促通反復療法)をマンツーマンで行っているデイサービスです。
大阪周辺には、自費で出張リハビリも行っています。
https://oneplusreha.com/addaccess

コメント

タイトルとURLをコピーしました