秒速1メートルの重要性

川平法とは?

みなさんこんにちは。
東京の川平先端リハラボでの「中上級講習会」を受講して早くも1ヶ月程度が過ぎてしまいました。
東京から戻ってきたあと、ワンプラスで最新の手技を付け加えたりしてご利用者さまに大変好評をいただいております。
やはり、川平法(促通反復療法)は常に進化していますね。勉強になることだらけです。
川平先生の、マヒの回復に対する執念や情熱には本当に脱帽です。
今日は、東京での印象に残ったエピソードをご紹介してみたいと思います。

歩行は健側荷重

中上級講座も後半戦を迎えつつあったころに、歩行についての講義と実技練習がありました。
川平先生は、脳卒中患者の歩き方についてお話されるときは必ず「健側荷重の歩行」を、とおっしゃいます。
これには、とても重要な意味合いが含まれています。
一般的に歩行の時にセラピストは「はい、体重を左右均等にかけて、健常者の歩行を意識して」というような指示をすることが多いと思います。
確かに重心が中心にあれば最も安定するし、健常者の歩行をまねるわけですから理想に近いとは思います。
しかし、必要以上にマヒ側に体重をかけてしまう事は、歩行にとってよくないことが多いと川平先生はおっしゃいます。
実際に私も、臨床ではマヒ側に体重をかけすぎない方が早く安定的に歩けると感じています。
それはなぜかというと、歩行中にマヒ側に体重をかけてしまうと、非マヒ側に重心を戻すのに時間がかかってしまうし、頭を含めた上体が左右に過剰に振れてしまうからです。
これではケイデンス(左右の脚の回転速度)は上がらず、スピードも出ません。体重が左右に振れるために安定性にも欠けてしまうでしょう。
やはり歩行時は、非マヒ側を中心にすべきだと思います。

装具はどうする?

脳梗塞・脳出血後遺症でマヒが残ってしまった方は、歩行時に下肢装具を着けていらっしゃる方が多いです。そして、装具を外して歩きたいという方が大半です。
確かに、ことあるごとに着け外しを行っている姿を見ると、余計な手間がかかって大変そうだなぁ、と感じます。
ご利用者さまの中には、ご自身の判断で装具を着けていらっしゃらない方もいます。
この点について川平先生は「装具は積極的に活用すべき」とおっしゃいます。
下肢装具を着ける理由の大きな一つとして「歩行時につま先が上がらずに地面とのクリアランスが確保できない」ということが挙げられます。
地面とのクリアランスを保てないから、マヒ側の脚を無理やり外に大きく回してしまういわゆる「ぶん回し歩行」になってしまうのです。
そして無理やり脚を挙げようとするがために余計な力が入り、膝が突っ張って脚全体が棒のようになり、クリアランス確保がさらに困難になってしまいます。
靴の中に足底版のようなものを入れ高さ調整をするなど、対策は講じますが、やはり装具は活用した方がリラックスした歩行が実現するのではないかと思います。

杖はどう使うか?

脳卒中患者が使用する杖には色々な種類がありますが、ここでは杖に使い方についてのお話をしたいと思います。
川平先生は「2点歩行を必ず実現しなさい」とおっしゃいます。
2点歩行とは、マヒ側の脚を前に出す時に同時に杖を前に出し、非マヒ側の脚と合わせて「1・2・1・2」のリズムで歩くことを指します。
一方歩行が不安定な方は「3点歩行」をされます。杖→マヒ側の脚→非マヒ側の脚 の順番で前に出す「1・2・3・1・2・3」のリズムでの歩き方です。
川平先生は3点歩行の弊害を強く主張されます。
「人間はね、脳でも脊髄でも歩行については2点歩行でプログラミングされてるんですよ。3点歩行なんて不自然で仕方ないですよ。スピードも出ないし」。
なるほど、人間はもともと1・2・1・2のリズムで歩くようになっているんですね。納得です。

秒速1メートルを超えろ

さて、3点歩行の弊害として歩行スピードが出ない、ということを川平先生は挙げられていましたが、実はこれ、実用的な歩行にとってとても重要なんですね。
皆さん外を自由に歩きたいですよね。外を歩くとほぼ必ず遭遇するのは交差点です。そこには歩行者用の信号があり、青信号の間に渡り切るだけの歩行速度が求められます。
警視庁のホームページでも確認したのですが、川平先生は「横断歩道の信号はね、秒速1メートルで原則設定されているんですよ」とおっしゃいました。
これは、交通量など特殊な事情を除けば原則的にはそうなんだそうです。ですから10mの歩道には10秒間の青信号が基本的に設定されているということです。
つまり、秒速1メートルを超える速さで歩けないと、自由に外を気兼ねなく歩くことは難しいという事なんですね。
そういう意味でもスピードの出せる2点歩行が重要になってくるという事なんです。

歩くことについて川平先生は大変こだわっておられます。
杖や装具や歩き方、すべてに「患者さんの困りごとを解決する」という考えのもとに立たれています。
ちょっとした会話の中にも川平先生の情熱が感じられ、こんな話を聞くだけでも東京に行ってきてよかったと思っています。
あの楽しかった東京での講習会からもう1ヶ月です。
東京で聞いた重要だと思うことはすべてメモしてきています。
そのメモを宝物にして、ワンプラスのご利用者さまに還元していきたいと思っています。

そんな私が運営するワンプラスは大阪府寝屋川市にあり、脳梗塞・脳出血後遺症に対し川平法(促通反復療法)をマンツーマンで行っているデイサービスです。
大阪周辺には、自費で出張リハビリも行っています。
https://oneplusreha.com/addaccess

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