脳梗塞や脳出血に代表される脳卒中では、様々な後遺症が現れ、当事者さまを苦しめています。
代表的な後遺症は、半身マヒです。左右いずれかの手足が動かしにくくなり、日常生活に大いに支障が出ます。
そのほかには、感覚が鈍る、手足の位置が分からなくなる、発声がしにくくなる(できなくなる)、視野の一部が欠ける、物が二重に見えるなどの障がいが残ることが頻繁にあります。
近年の脳科学の発展により、それらの後遺症の原因が徐々に明確になってきています。そしてリハビリ分野でも効果的なアプローチ法が日々研究され、実用化されつつあります。一部の新しいリハビリについては、高価な機材が必要であったり入院によるリハビリが必要であったり、身近に感じられることはまだ少ないのですが、川平法のような徒手的なテクニックを要するリハビリ法は、廉価で誰にでも受けていただくことが可能です。
われわれ医療関係者の努力による問題解決法については日々進歩しています。再生医療などどいう分野も入れると、飛躍的な進歩と言えるでしょう。
しかしながら、脳卒中後遺症のレベルを決める要因は、大きく分けて二つあると言われています。これを理解すると、当事者さまの頑張りがとても重要だということが分かると思います。
今日はその二つの要因について、お話をしてみたいと思います。
後遺症のレベルを決める要因とは?その1
維持期の脳卒中患者様の運動機能障害は、まず脳自体の損傷に起因するものといわれています。
これは、ほぼ通説となっており、常識と言えるかと思います。
その方が脳のどの部位をどの程度損傷されているかで、後遺症の出方は変わってきます。
ある方は手より足の方がよく動く、とか逆に手の方がよく動くとか。筋肉の緊張も千差万別です。
いわゆる上肢の屈曲パターンとか、下肢の伸展パターンなどという典型的な形は提唱されていますが、すべての方がそこにすっかり当てはまることは少なく、私の感覚では、大きなくくりでのグループ分けが出来る、といった印象です。
また、MRIなどの脳の損傷画像を見せていただくと、その方がどのような障がいをお持ちなのか、ということも想像できます。
このように、脳卒中発症時に受けた損傷のレベルや場所によって、後遺症のレベルが決まってしまうといわれているのです。
後遺症のレベルを決める要因とは?その2
さて、後遺症のレベルを決定するもう一つの要因とは一体何でしょうか?
これは、当事者の皆さんがコントロールできる要因です。
以前、川平法を説明するときに「脳の可塑性を利用する」というようなことをお話ししたと思います。
可塑性のお話をもう少し詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
脳というのは、とても賢く、一度失った機能を再び獲得するための働きを行うことが出来るのです。
ただし脳はそういったプラス面だけの賢さではなく、時として当事者さまに不利益につながることも学習してしまうのです。
どういうことかというと、マヒが起こって手足が使いにくくなり、非マヒ側ばかり使って楽な生活を送っていると、マヒ側の手足の能力が落ちてしまうのです。
簡単な例でいうと「マラソンランナーが練習をやめてしまうと心肺機能や脚力が落ち、普通の人に戻ってしまう」です。
障がいのない人にとっても通常起こりえる現象ですよね。これが脳卒中当事者さまにも当てはまるのです。
研究者による報告では、まったく使わなくなった手指の脳の支配領域が消滅してしまい、隣り合った指の支配領域に置き換わってしまったそうです。
交通事故などで手足を切断し失ってしまっ患者さまの脳にも、同様の変化(失った手足の脳の支配領域が消滅する)が起こるそうです。
つまり、脳卒中によってマヒが発生してしまった手足を、出来るだけ動かさずに生活を送り続けていると、脳がその生活様式に従い、変化を起こしてしまうのです。
脳が優れた学習能力を有していることは、マイナス面にも影響を及ぼす可能性があるということなんですね。
まとめ
脳卒中の後遺症のレベルについて、当事者さまご自身ではどうにもしがたい原因(損傷部位や範囲)があることは仕方ありません。特に維持期に入ってきてしまっては再発防止に努めることぐらいが一般的な医療関係者からのアドバイスでしょう。
ただ、後遺症のレベルを決める二つ目の「使わないことによる機能低下」はご本人さまの心がけ次第では防ぐことが可能です。
ワンプラスに来ていただいているご利用者さまも「家では何もしていないなぁ・・・」と言われる方が正直いらっしゃいます。
そのたびに「使わなくなったら使えなくなりますよ」と声をかけ、自主練習に取り組んでいただくよう促しています。
発症後6か月をを過ぎてしまうと、諦めてしまう方が多いのですが、とてももったいないと思います。
どのように自分でやったら良いのかわからない、などの悩みをお持ちでしたら、ぜひご相談ください。
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