川平法(促通反復療法)行う上でのキーワード

川平法とは?

脳梗塞・脳出血後遺症を回復させる効率的なリハビリである川平法(促通反復療法)。理論的にはエビデンスもあり、実際に効果の出る信頼のおけるものだと思っていますが、実践段階になると、なかなか困難なことに直面することが良くあります。
それはなぜなのか?
私のセラピストとしての熟練度が足りない、という側面もあるかとは思いますが、そもそも川平法を初めて受けられる利用者さまが慣れていない、ということが最も大きな理由だと思われます。
どうすれば効果的なリハビリが早く出来るようになるのか?いつもそこを考えています。

川平法 重要なキーワード

我々セラピストは、理論的な部分から実践的な部分まで丁寧に説明し、同意を得た上でリハビリをしているつもりです。しかし利用者さまの立場で言えば、頭で分かっていても、体がついてこない状態になってしまうのでしょう。最初から私の思うとおりに動いてくれる利用者さまに出会ったことはありません。
この問題を乗り越えるために、私は出来るだけ簡単な言葉で伝え、シンプルに理解してもらうことが効果的なリハビリへの近道だと思っています。川平法のテキストや勉強会で出る「これだ!」と思える言葉をいつもメモして、利用者さまにお伝えするように心がけています。
というわけで、私が重要だと思う言葉、キーワードについてちょっとご説明したいと思います。

『脳はやったことしかできません』

この言葉は、私が川平法のテキストを読み込んだり、勉強会で教わったりしたときに出てくるキーワードです。この言葉、川平法のリハビリを的確に表していると思います。
そうです。脳はやったことしか再現できないんですね。特に運動についてはこれが見事に当てはまると思います。
例えば、私は大学時代、ラグビーをプレーしていました。高校時代はサッカーをやっていたのですが、ラグビー部がなかなかの強豪で、県大会でベスト4まで残ったのをきっかけに「男はラグビーだ」と信じ込み、大学で初めてプレー。ポジションはスクラムハーフ。パスが命のポジションです。テレビで観ている時は、パスなんて、ボールに回転を掛けて投げればいいだけだろ?と思っていたのですが、実際に投げさせてもらうと全くうまくいかない。これには愕然としました。
全く思い通りにパスの投げられない私に、優しい先輩は手取り足取りパスのやり方を教えてくれ、何度も練習した後にようやくきれいなパスが投げられるようになりました。

リハビリも同様です

私の懐かしいエピソードをサンプルにしましたが、私たちが普段何気なくしている運動は、繰り返し行うことによって出来るようになったものなんですね。川平法(促通反復療法)は運動学習です。簡単に言うと、ラグビーのパス練習と同じ段階を踏んで自分のものになっていくんです。
脳卒中後遺症に悩む方は、「はい、腕を挙げてみてください」と言っても、脇は開き肘や手首は曲がり、指も握りこんでしまっていることが多いです。
目的とする運動には程遠い動きが出てしまうんですね。私の例で言うと、投げたボールが遅く、目標には届かず、ラグビーにならない状態。
キレイな運動は、その運動を再現して脳に覚えてもらわないといけません。
それを効率的に練習できるのが川平法なんですね。

練習を通して脳に覚えさせよう

というわけで、目標とするきれいな運動を再現したいわけですが、これは一筋縄ではいきません。またの機会にお話ししますが、意図した運動は共同運動や関節拘縮、筋肉の過緊張、筋肉の弛緩等々・・・、それはそれは立ちはだかる壁はいくつもあります。
この壁を、私たちによるコーチングで乗り越え、パスが投げられるようになるんですね。ただし、練習は必要です。根気強く繰り返して行うことが重要です。頑張りましょう。

まとめ

リハビリは、自己流で行っても、命令と運動が連動せず、何度動かしても思ったような動きにはならないでしょう。
命令と運動が一致してこそ、正しい運動学習になるわけです。
『脳はやったことしかできません』
誰でもが理解しているようで、なかなか難しいキーワードです。

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