こわばった指を動かしたい。川平法で!

川平法とは?

脳梗塞や脳出血の後遺症で、手足の動きが悪くなることはよくあることです
手足の動きが悪くなる原因はいくつか考えられるのですが、その主要な原因の一つが「痙縮」と呼ばれるものです。
痙縮は我々が元々持っている「筋反射」が強く出てしまっている状態と考えていただいて良いと思います。
この筋痙縮をを上手に和らげつつリハビリを進めることがとても重要なファクターと私は考えます。

痙縮のメカニズム

脳梗塞・脳出血発症後に出現する痙縮は、マヒした側のどの関節にも程度の差こそあれ、出てくる可能性はあると思います。
まさに人それぞれという感じなので、典型的なパターンが医学書などで紹介されていますが、まぁ本当にいろいろです。
ただ共通項はある程度あり、上肢なら関節を曲げた状態で痙縮している、下肢なら関節を伸ばした状態で痙縮しているという感じでしょうか。
冒頭、痙縮は筋反射が亢進した状態である、と説明しましたが、諸説原因が指摘されている中、これがもっとも有力なんだそうです。
もう少し詳しく言うと、脳のような体の運動を制御するトップ器官が脳卒中などで損傷してしまうと、脳を介さない運動(代表例:脊髄反射)が勝手に起こってしまい、抑制が利かなくなってしまいます。通常なら脳の適切な命令(=制御)で必要な時にだけ発現するようになっている反射が、脳の命令がないために異常な強さで、延々と反射を繰り返す状態になっているのです。
これでは、自分の意志で体を動かす随意運動が邪魔されてしまい目標とする動きが出づらくなってしまいます。

川平法でトライ

川平法は、脳梗塞・脳出血に対応した画期的なリハビリ法です。痙縮への対策もしっかりと考えられています。
マヒによる筋痙縮を即時的に抑えることが出来た例をご紹介します。
ワンプラスに2年ほど通っていただいているYさまという方がいらっしゃいます。脳卒中発症後10年以上が経過し、右半身にマヒが残っています。
手指の機能改善の動画でご紹介したYさまです。
その動画はこちら↓


動画を見てもわかる通り、通常機能回復が難しいと言われている手指に大きな変化が現れ、順調に進捗していたYさまですが、コロナ禍に陥る前に内蔵の手術のため長期休止に。退院後ようやく利用再開と思っていた矢先にコロナの非常事態宣言。術後の体調を考慮し、再びリハビリはお預けになりました。
長期のお休みと術後の体力低下で、すっかり動きの悪くなってしまったYさま。ご利用再開後、一生懸命二人三脚でリハビリに取り組みました。
まずは以前のように歩けるようになりたいというご希望に沿い、下肢だけに特化して川平法とはじめとしたリハビリを施しました。
最近になり、ようやく上肢にも目を向ける時間が出てきて、先日本当に数か月ぶりに手指のリハビリを行いました。
まずは手指の関節可動域を確認しようと、他動的に動かしてみます。ん~、想像どおり動きが悪い。
特に手指を伸ばした状態で手首を反らすストレッチに、過剰に反応します。「痛い、痛い」と。
順調にリハビリを行っていた時の半分程度の可動域でギブアップ。
これには困りました。おそらくほとんど使っていなかったために痙縮が助長されてしまった状態だったんでしょう。
痛がるYさまの姿に、ストレッチは諦め、まずは川平法で指を促通してみることにしました。

劇的な変化が!

こわばってしまった手指に悪戦苦闘しながらの川平法です。動きも以前と比べて小さく、正直ショックを受けました。
ただ、回数を重ねるうちに、動きが軽く広くなってきたのを感じ「お、これはいけるかも??」と思いました。
親指から小指までひと通り促通手技を終え、再び手首のストレッチにトライ。
するとどうでしょう。もっとも良かった時期には届かなかったにしても、指を伸ばしたままの手首の反りが180度を超えました。
もちろん他動運動のただのストレッチです。
それにしてもこの変わりように二人で驚きました。
わずか1度の川平法でこれほどの変化が出るとは。正直どのような機序でこのような変化が出たのかは自分でも分かりません。たまたまだったのかもしれません。
でも、川平法は優れた手技で、即時的な変化が劇的に起こる場面に幾度となく遭遇しているのは間違いないですし、どんな手を使っても利用者さまの機能回復につなげることをワンプラスの目標にしているので、とてもうれしかったです。
今後もYさまとコミュニケーションを密にして、もっとしっかり歩けるように、もっと手を動かせるように、一生懸命支援していきたいと思います。

そんな私が運営するワンプラスは、川平法(促通反復療法)をマンツーマンで行っているデイサービスです。
大阪周辺には、自費で出張リハビリも行っています。
https://oneplusreha.com/addaccess

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