自分のモノになる

利用者の声

お彼岸を過ぎてようやく暑い季節が過ぎようとしている大阪です。
今朝は出勤時にはヤッケを羽織ってバイクに乗りました。
ワンプラスデイサービスは、脳卒中後遺症(半身マヒ)に対して専門的にアプローチするちょっと変わったデイサービスです。
促通反復療法(川平法)を駆使し、発症後6か月を過ぎたいわゆる維持期の方に対しても機能回復が望めるリハビリを提供しております。
今日はそんな日々の中から、利用者さまからいただいた言葉についてお話してみようと思います。

下肢が課題の利用者さま

今回ご紹介するのはTさま(55歳女性)です。
Tさまは2年近く前に脳卒中に罹られ、右半身にマヒを抱えておられます。
ワンプラスのご利用も1年を過ぎておられます。
Tさまは、上肢と下肢を比べるとどちらかというと下肢に課題のあるタイプでした。
上肢は肩から手指まで良く動き、もう少し頑張れば箸を使ってモノをつまめるレベルまで回復してきております。
一方下肢については、関節ごとの動きは悪くは無いのですが、全体として動きがぎこちなく、歩行時にはバッタンバッタンと上肢を揺らしながらの歩様になってしまいます。
ご本人さまもご自身の歩行に納得がいっておられません。
毎回、下肢の時間をじっくり取ってのリハビリとなっております。

健側前型歩行ですよ

ワンプラスに来る前のご利用者さまに共通して見られるのが、歩行時にマヒ側に体重をかけすぎているという傾向です。
本来の歩行は体重が中心に来て左右均等に脚を前に振り出すと思います。
そのイメージで皆さん頑張られるのですが、そうするとどうしてもマヒ側に体重がかかった時に上体が大きく振れてしまいバランスが悪くなります。またマヒ側から非マヒ側への体重移動に時間がかかってしまい、体力が消耗することに加え、脚の回転もゆっくりとなり、歩行速度が上がりません。また、マヒ側を頑張って使おうとするため、上肢にも緊張が走り、腕がギュッと固まってしまったりもします。
とうわけで、機能回復の前に過度にマヒ側を使おうとするとあまり良い事が起こらないことは理解していただけると思います。
Tさまも同様にマヒ側を過度に頑張らせての歩行が顕著で、それが原因でぎこちない歩様になっていると考えました。
そのクセを抜くために毎回「はい、非マヒ側に体重をかけて。常に頭は非マヒ側の脚の上に乗っているイメージで」
などと、健側前型歩行を獲得するための練習を繰り返しました。

変化が出てきた!

私がしつこく伝えるアドバイスがようやく効いてきたのか、Tさまの歩く時のバランスが良くなってきました。
マヒ側はあまり頑張ろうとせず、非マヒ側の脚についていくイメージを繰り返し伝え「前に進むのは非マヒ側で。マヒ側はついて行くだけで良いですよ」と声をかけ続けました。
すると、健側前型歩行の利点が少しずつ分かってきたのか、あまり口うるさく伝えなくても自然とバランスの取れた歩行が出来るようになってこられました。

先生、脚がね・・・

本当に少しずつではありましたが、確実に進歩が見られ、上体が安定し上肢もリラックスした歩行が出来るようになってきたある日、Tさまが休憩時間中にふとこんなことをおっしゃいました。
「先生、最近ようやくマヒした脚が自分のモノになった実感が出てきたんです」と。
マヒ側の半身が、自分のモノとは思えないという感覚は、当事者の方からよく聞くお話です。そこには運動だけでなく感覚の障害もあることで、動きも悪く感覚も鈍い手足に関して到底ご自身の所有物とは思えないという事になってしまうのではないかと思っています。
それが、ようやく自分のモノになる感覚が起こる・・・。とても大きな進歩ですよね!
ご自身で上手にコントロールすることが出来るようになって、自分で動かしている実感がわく。
こんなセリフを聞きたくて促通反復療法を毎日繰り返しているといっても過言ではないほどの言葉です。
Tさまの機能回復に少なからず貢献することが出来たと本当にうれしく思いました。

こんな素敵なセリフがワンプラスでもっと聞かれるように努力を繰り返さなければなりませんね。

二か月ぶりに開催された川平法講習会で、また新しい知見に触れ、ヤル気がアップしている私が運営するワンプラスは大阪府寝屋川市にあり、脳梗塞・脳出血後遺症に対し川平法(促通反復療法)をマンツーマンで行っているデイサービスです。
大阪周辺には、自費で出張リハビリも行っています。
https://oneplusreha.com/addaccess

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