ワンラスでリハビリに励む方々は、脳梗塞や脳出血の後遺症に悩まれ、日々の生活に不自由を感じていらっしゃいます。
その生活の不自由さを少しでも解消するために、真剣にワンプラスのメニューに取り組んでいただいています。
私は、脳卒中のリハビリには「ニューロリハビリテーション」が有効だと考えています。川平法《促通反復療法》をはじめとした新しいリハビリ法が提唱されており、実際に発症後半年以上経過したいわゆる「維持期」と言われる方々にも、努力に比例した効果が見られています。このブログでご紹介する事例などをご覧いただけばニューロリハビリテーションの効果をご理解いただけると思います。
ただし、私はマヒが改善するならばニューロリハビリテーションにこだわらなくても良いと考えており、日々新しい情報を検討しており、ワンプラスでも取り組めると思ったものは積極的に行っていく方針を持っています。
今回は、こんな文献に興味を持ちました。
エルゴメーターが効く?
ある日、脳卒中に対しての新しいアプローチ法はないだろうか?と文献を色々調べていたところ、こういったものを見つけました。
原文に興味のある方は、こちらをどうぞ。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2010/0/2010_0_BbPI2166/_article/-char/ja/
スポーツクラブでよく見かける自転車をこぐようなマシン「エルゴメーター」がマヒに効果的であるというのです。
アプローチ法としてはあまり聞かなかっただけに、大変興味を持ちました。
こんな理論だそうです
文献自体は当然のことながら専門的で、一般の人にはなかなか理解しがたいので、本当に簡単な内容でご説明したいと思います。説明の中身が誤解を招くようでしたらお詫びします。
自転車エルゴメーターをこぐ効果として、健常な方には「脊髄の反射弓と皮質脊髄路に影響を及ぼす」ことは従来から分かっていたそうです。
これが、脳卒中後遺症に悩む方にはどのような影響が出るのかを研究したようです。
1.脊髄の反射弓の興奮性に影響がある
脊髄の反射弓とは、人が感覚器を通して感じた刺激が脊髄へ送られ、その刺激に応じた命令を体へ瞬時に送り返すという一連の経路のことです。人が意識したり判断したりする段階を飛ばして短時間に行われることが特徴と言われます。これが正常に働いていると人間はスムーズに生活を送ることが出来ます。
しかし、脳卒中を患いマヒが残っている方には少々やっかいなものになってしまいます。反射弓の動きをコントロールできないために、肘や手指が意識しなくてもずっとギュッと曲がってしまっている状態、いわゆる「痙縮」として出てしまうんですね。これは脚にも同様の現象が出てしまいます。
自転車エルゴメーターがこの反射弓の興奮性に影響を与える事が期待できるそうなんです。
2.皮質脊髄路の興奮性にも影響が
皮質脊髄路というのは、反射とは違い、人が意識して運動するときに脳からの命令を送る経路のことです。脳卒中後遺症を持っていると、この経路にも異常をきたし、本来やりたい動作がとてもやりづらくなってしまうことが多くあります。
この命令経路にも影響が出るとなれば、がぜん興味は上がってくるわけです。
研究の結果は?
この研究グループは、脳卒中患者さんに自転車エルゴメーターをこいでもらい、その前後に腕の機能に変化があったのかを調べました。
その結果、エルゴメーターをこぐ前とこいだ後では、手首の運動と手指の運動に改善が見られたという事でした。
自転車をこぐ=脚の運動 なのに、手首や手指の動きに変化が出るとは不思議な感じもしますが、神経生理学的評価からしても変化が出たそうです。
ただ、この研究は大規模なものではなく、数名の被験者さんに行ってもらった実験だそうで、これをもって必ず成果が期待できると決めるには早計だとは思います。
でも、これが本当に効果が望めるならば、積極的に取り組んでみたいものです。
ワンプラスでは!
この研究の成果を見て以来、どうもエルゴメーターが気になり先日、思い切って1台を購入(笑)
さっそく利用者さまに乗っていただいております。ただ、今までのメニューだけでもかなりのボリュームのところへいきなり新しい種目が入ってきてしまったので、まずは足慣らし、リラックスタイムを過ごしていただくという感じでの利用開始ですが、どんな変化が出るのか、これから楽しみにしたいと思います。みなさん、自転車こぎますよ~!
新しい考え方を常に取り入れる私が運営するワンプラスは、大阪・寝屋川市で川平法(促通反復療法)をマンツーマンで行っているデイサービスです。
大阪周辺には、自費で出張リハビリも行っています。
https://oneplusreha.com/addaccess
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