非マヒ側を鍛えるとマヒ側も強くなるのか?

脳卒中の研究

脳梗塞や脳出血に罹り半身マヒが残ってしまうと、日常生活に大きな不自由が発生します。
ワンプラスでは、そのマヒが残った手足に積極的にアプローチを行い、その動きを改善させ機能を向上させることを主眼に置いてリハビリを行っています。
実際に大きな進歩を見せる方が多くおられ、大変喜んでいただいています。
ご本人さまだけではなく、ご家族さまやケアマネジャーさま、ヘルパーさんまでもがその変化に気づいてご報告いただくことも頻繁にあります。
それらの成果を得るまで、私はいろいろなアプローチ法を用いています。
もちろん一番のメインは川平法(促通反復療法)ですが、その他にも補助的な練習を行っていただいています。
その一つに、準備体操があります。これには、本格的なマンツーマンのリハビリに対する準備的な意味合いはもちろんあります。
しかし、実はそれだけではない準備体操の意味が隠されているのです。
今日はそのあたりを中心にお話してみたいと思います。

ワンプラスの準備体操

ワンプラスでは、川平法のリハビリの前に準備体操を行います。
マヒのある利用者さまが大半なので、その準備体操は少々特殊です。
手や足、体幹を動かすのですが、関節の可動域を広げるストレッチや動きの改善などを狙った種目を行っていただきます。
そのあと、ゴムチューブやゴムボールを使用した本格的な筋力トレーニングをしていただいています。
準備体操全体を通して、どちらかというとマヒした手足はそれほど大きく動かすことはしません。
特にチューブやボールを使う筋力トレーニングでは、非マヒ側のみを対象にしており、手足の筋力アップを目指して行っています。
「体全体を、バランス良く」というよりも、マヒしていない手足をバッチリと、というイメージです。
しかしここには、ある意図があるんです。

ワンプラスの準備体操の意図とは?

ワンプラスで行う準備運動の意味は、大きく二つあります。
ひとつ目は、非マヒ側の筋力の向上です。マヒがある手足だけで生活するには不自由が多いからです。やはりマヒの少ない手足をフル回転させて生活をすることは不可欠だと思います。
ふたつ目の意図とは、非マヒ側の手足を鍛えることがマヒ側の筋力アップにも寄与すると考えているからです。
エッ??と思う方もいらっしゃるでしょうが、片側の手足を鍛えることが反対側も鍛えることになる、という研究があるんです。

クロスエデュケーションの研究

片側の手足を鍛えると、反対側の手足も鍛えられるという考え方は、意外に古くからありました。
特に整形外科領域のリハビリで、手術後の筋力アップを図るために反対側を鍛えるということは普通にあったようです。
これを脳卒中患者に対するリハビリとして応用することが行われるようになってきました。
クロスエデュケーションとよばれるこのトレーニング法ですが、その効果を検証した研究論文を見つけたのでご紹介します。
原文はこちらです。興味がある方はどうぞ。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29730752/
論文の内容としては、維持期に入った脳卒中患者24名に、非マヒ側の手首を返す運動(筋力トレーニング)を5週間にわたり行ってもらい、リハビリ前後の筋力アップ度を検証したそうです。
結果、直接トレーニングした側の筋力が平均42%アップしたのに加え、マヒ側の筋力も35%アップしたそうです。
5週間後の追跡調査でも、新たに得られた筋力は維持されていたということです。

まとめ

マヒのない手足をしっかり鍛えて生活に使うということは基本だと思います。ぜひ皆さんに取り組んでいただきたいです。
ただ、マヒ側の手足の筋力強化にもつながっていることを理解していれば、より意欲も湧くのではないかと思っています。
特にマヒが強く出ていて、筋力トレーニングを行うことが困難な方にとっては、良い訓練でしょう。
筋力を維持向上させつつ、機能改善につながる川平法もしっかり行う。ワンプラスでのリハビリはとても理にかなっていることがご理解いただけるのではないでしょうか。

脳梗塞・脳出血後遺症に悩む方に寄り添い、意欲を持って生活をしていただく事へのお手伝いをすることを念頭に活動をしている私が運営するワンプラスは、大阪・寝屋川市で川平法(促通反復療法)をマンツーマンで行っているデイサービスです。
大阪周辺には、自費で出張リハビリも行っています。
https://oneplusreha.com/addaccess

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