リハビリ時にイメージすることは重要なのか?

脳卒中の研究

さて、ワンプラスデイサービスでは脳梗塞や脳出血により残ってしまった後遺症を専門にリハビリを施しています。
メインのリハビリ法は促通反復療法(川平法)です。
最新の脳科学を基礎にした「ニューロリハビリテーション」の一種と考えていただいてよいかと思います。
川平法を駆使して行うリハビリは、関節の独立した運動やなめらかな運動の再獲得を大きな目標としています。
そのために、セラピストと当事者が息を合わせて事前に決めていた運動をひたすらに繰り返します。一般的には同じ運動を最低50回は繰り返すことを求めています。
出来れば100回繰り返すことを推奨していますが、私が数年前原宿の川平先端リハラボで直接川平先生から教えを受けた時に、スタッフのセラピストさんから「手指のリハビリに【1000本ノック】することもあるんですよ」と聞きました。
つまり、決めた運動をひたすらに繰り返すことを求めているんですね。ただ、ワンプラスの利用者さまに関節運動1000回を要求することは、ちょっと現実的ではないですね。おそらく半数以上の方がギブアップしてしまうでしょう(笑)集中力と体力が求められますね。
しかし一方で、単純に回数をこなせば回復に直結するのか?と言えばそうではないと思っています。
私の感覚で言うと、利用者さまから「生活の中でこういう事をしたい」という希望を聞き、それを実現させるためのトレーニングをすることが成果につながると思うのです。
具体的な希望を伝えていただいた方がリハビリの種目を選択しやすいというのもありますが、良い変化がより起こりやすいということを現場で実感しています。

こんな声掛けをしています

私がワンプラスで川平法を行う際、利用者さまにこれから行う運動の具体的なイメージをしていただくために「はい、テーブルの上の饅頭を取って、それを口に入れます」などという声を掛けます。「はい、2個目食べま~す」「はい、あと3個食べま~す」「はい最後、50個目食べました!」などですね。
または、歩行練習するときなどは「ここは室内なので床は平面ですが、歩道を歩いているイメージで歩いてみましょう。つまずかないようにつま先を挙げるイメージを常に持ってね」などと声を掛けます。
これは、冒頭で言ったように、利用者さまの日常生活動作の希望を聞いているのが半分と、川平法で行う関節運動に意味を持たせたいというのが半分ですね。
川平法の勉強会でも、講師の先生は「日常生活動作につながる成果を上げるために、イメージさせることが重要です」のようなことをおっしゃっていたのを覚えています。
しかし、この考え方は本当に効果的なのか?とも思ってしまいます。私の感覚だけで「良い」と思っていることが独りよがりになってしまわないか?と思うのです。

こんな研究がありました

というわけで、脳梗塞・脳出血後遺症へのリハビリ時に具体的なイメージを伴った運動を促すことがどれだけ効果的なのか?ということについての研究はないのか?と思い、調べてみました。
そこで、こんな論文を見つけました。
こちらが原文です。興味がありましたらどうぞ。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25182189/
2014年のアメリカでの研究ですが、概要は以下の通りです。
60歳前後の慢性期脳卒中患者7名に、運動時の脳MRI検査を行う。運動時に、
a)右手を内側・外側にひねる運動を行う
b)同じ動作をするときに【ドアノブをひねる動作を出来るだけ具体的にイメージする】ことを求める。
の二通りの動作をした際の脳の興奮や働きをMRIで調べた。
【結果】ひねり動作のみ場合、左脳の感覚運動野と右の小脳に活動が見られた。一方、運動イメージを加えた場合、左の下頭頂小葉と右の背外側前頭前野の強い活動がプラスされた。
つまり、単純な運動動作に具体的なイメージを加えることで、より広範囲な脳内ネットワークを賦活することが出来るのではないか。
とのことでした。

まとめ

ニューロリハビリテーションの一種であるCI療法も、患者の希望を詳細に聞き出し、それを実現するための運動について徐々に難易度を上げながらトレーニングするといいます。川平法も、手技については似て非なるものでありながら『具体的なイメージをしながら運動をする』部分に関しては共通性があると思います。
脳内ネットワークを効率的に賦活する手法を用い、ワンプラスのご利用者さまの機能回復に貢献するような仕事を常に意識しないといけません。研究はし続けます。
緊急事態宣言のもと、自宅にこもって時間を持て余している今、こんな勉強をしてみました。

そんな私が運営するワンプラスは大阪府寝屋川市にあり、脳梗塞・脳出血後遺症に対し川平法(促通反復療法)をマンツーマンで行っているデイサービスです。
大阪周辺には、自費で出張リハビリも行っています。
https://oneplusreha.com/addaccess

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