私が運営しているワンプラスは、本当に小さなデイサービスです。
スタッフも最小限にとどめているので、私は一人でリハビリ、介護、送迎などの直接的な役職の他、営業や宣伝、経理など業務も全般に担当しており、毎日てんてこ舞いしております。
休日には、川平法の勉強会や患者会、当事者の会への参加などもあり、休んでいるようで休んでいない日々を送っております。
まぁこんな日々は、自分で望んでいたものなので致し方ありません。自業自得です。言い訳しません。頑張ります。
そんな忙しい毎日を送っている先日、こんなことがありました。
出勤の途中で・・・
ある日の朝、その日は午前中からご利用者さまがいらっしゃる予定だったので、午前8時半ころには家を車で出ました。
自宅の周辺は閑静な住宅街で、信号のない生活道路が縦横に走っています。
その日も自動車で自宅を出発し、ゆっくりと細い道路を走りだし、信号のない交差点に差し掛かった時に、一人の男性が私の車の前を渡ろうとしていました。タイミングとしては、車に乗っている私が男性が道を渡るのを待つべきでしたので、ブレーキをかけ停車しました。
当然男性が道を横切るだろうと思っていたら、その男性は足が前に出ず、道の端で小さく足踏みを始めました。その姿を見て私も助手席に乗っていた妻もすぐにその男性の事情を理解しました。
私は小声で「あの人、パーキンソン病だろうね」を言いました。妻も「そうだと思うよ」と答えました。その姿はワンプラスで見慣れているパーキンソン病の代表的な症状の一つである「すくみ足」でした。
私は経験上、焦らせると余計に足が出にくくなるのを知っていたので、出来るだけ素知らぬふりをして待っていました。するとその男性、バランスを崩してその場に座り込んでしまいました。
すぐに駆け寄り声をかける
その男性は、見たところ私と同い年くらいの方でした。言い方は悪いですが上手にバランスを崩されたので、ケガはない様子でした。その方は待たせている私に悪いと感じられたのでしょうか、すぐに立ち上がろうとしますが、焦りからかなかなか立ち上がれません。
いてもたってもいられず、後方を確認して後続車がいないのを見てハザードを出し、車を出てその男性に近づき声を掛けました。
「大丈夫ですか?」と問いかけると「大丈夫です。一人で立ち上がれます」とおっしゃいました。
しかし顔はこわばり、焦っているのが手に取るように分かりました。
落ち着いてもらいたい一心で
男性は、突然座り込んでしまって私を驚かせてしまっている、早くここを後にしたい私を待たせてしまっている、などの思いが交錯し、より体が動きづらくなってしまっていたようでした。
私はとっさの判断で「大変失礼ですが、もしかしたらパーキンソン病を患われていますか?」と聞いてみました。案の定「はい、パーキンソン病です」と答えられました。
私が男性にそう尋ねたのは、私がその症状を知っていて今の状況を理解しており、決して恐怖や嫌悪感を抱いていないということを伝えたかったからです。
「大丈夫ですよ、ゆっくりと立ち上がりましょう」と言いつつ男性を手助けしました。
男性は、私が状況を理解していて落ち着いていることを悟ったのか、幾分か楽な表情になられました。
それでも男性は「すみません、すみません」と何度も私に謝り、何とか立ち上がってその場を去ろうとしていました。
私も、男性がとても気を使っているのを感じたので、余計なおせっかいはせずにケガや異常がないことを確認してから「お気をつけて」と声をかけ車に戻りました。
胸が締め付けられる思い
そんなことがあった後通勤の道すがら、焦りに顔をこわばらせていた男性の表情を思い出し、複雑な心境になりました。あの男性はあのような場面にちょくちょく遭遇しているのだろう。その時近くにいた人間が私のようにパーキンソン病を理解している人ばかりではないだろう。周囲が適切に対応し、男性が気を過剰に使ったり自己嫌悪に陥らない雰囲気を作ってあげられるのだろうか、などと思いを巡らせ、あの男性のことを思い胸が締め付けられる思いがしました。
そもそも、あの時の私の対応が本当にそれで良かったのかどうかも分かりません。突然訪れた状況に、セラピストとして冷静に、適切に対応できたのかどうか・・・。
通勤途上のわずか数分の出来事に、深く考えさせられることとなりました。
私はセラピストとして、ワンプラスに来ていただいている時だけではなく、利用者さまの人生を丸ごと支える覚悟を持ち、さらにはそのご家族や関係するすべての方たちへの影響を考え、少しでもみんなの笑顔が増え、充実した生活を送っていただけるよう研鑽や努力を怠らず日々の仕事に当たらねばならないと思いを改めました。
そんな私が運営するワンプラスは大阪府寝屋川市にあり、脳梗塞・脳出血後遺症に対し川平法(促通反復療法)をマンツーマンで行っているデイサービスです。
大阪周辺には、自費で出張リハビリも行っています。
https://oneplusreha.com/addaccess
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