テレメンタリー21「言葉を失った歌舞伎役者」

管理人日記

先日、ワンプラスのご利用者さまからこんな話を聞きました。
「先生、今度テレビで脳卒中の歌舞伎役者の特集をやるみたいだから、見てみてね」と。
私に都合があり、放送日に見ることは出来ませんでしたが、今の時代は便利なものです。Youtubeで見ることが出来ました。
この番組を見て感じたところをお話してみたいと思います。

番組の内容は

番組の内容は、歌舞伎界の女形の第一人者である中村福助さんのお話です。
歌右衛門という大名跡を継ぐという発表の直後、突然脳出血を発症されました。発症直後は意識もあり簡単なコミュニケーションも取れたようですが、脳内出血の状態が悪く、緊急手術を受けられました。8年ほど前のことでした。
ご家族へは生きるか死ぬか、生きていても車いす生活を覚悟するように、と主治医から告げられていました。
福助さんご本人やご家族のお気持ちを考えると、胸が締め付けられるような宣告ですが、これが現実のようでした。
幸い手術は成功し一命はとりとめましたが、将来のこと考えるととても悲観的にならざるを得ない状況だったと思います。

リハビリを頑張る

急性期病院を退院された後、回復期は東京の慈恵医大病院に転院されたようです。
そこで福助さんは懸命にリハビリに取り組まれました。
福助さんは左脳に出血が出たため、右上下肢に後遺症が出ました。さらに、左脳はその働きとして言語中枢を担っているので、言語に問題が残る場合が多くあります。
いわゆる失語症というものです。言われた言葉を理解したり発したりする機能に問題が出てしまうのです。
ちなみに右脳に梗塞や出血が出ると、言語ではなく視野に問題が出ることがあります。手や足の動きだけではなく言語や視野などにも問題が出る高次脳機能障害という後遺症に悩まれる方が多いのも脳卒中の特徴です。
福助さんは、右半身だけではなく言語にも後遺症が出てしまいました。
歌舞伎役者にとって、所作やセリフは生命線です。急性期病院を退院した直後などは、現場に復帰するなどということはおそらく考えられなかったのではないかと思います。
言語聴覚士の先生と一緒に、短い単語の発音練習などを地道に繰り返されていました。

慈恵医大のリハビリ rTMS

福助さんは、懸命にリハビリに取り組まれていました。慈恵医大に転院されたようでしたが、ここで採用される治療法に「rTMS(反復経頭蓋時期刺激法)」があります。
2000年代から始まった治療法で、磁気を脳に当て、傷を負ってしまった片側の脳の働きを活性化させて、左右の脳のバランスを改善させて手や足、言語などの後遺症を軽減させるような治療法です。
私が川平法で関わった患者さんにも、慈恵医大でrTMSを入院して受けたことがある方がいらっしゃいました。その方は発症後1年以上経過したいわゆる維持期の方だったのですが、慈恵医大のうわさを聞いて入院治療を受けられました。一般的にrTMSは上肢の動きに効果的だと言われているようですが、その方は歩きが改善した、とおっしゃっていました。
さて福助さんですが、rTMSを受けられ、理学療法も作業療法も言語聴覚もすべてのリハビリに取り組まれていました。
それこそ、薄皮を一枚一枚積み重ねていくような地道な地道なリハビリだったと思います。

奇跡の舞台復帰

ご本人さんの努力が実を結んだのか、発症直後は車いす生活を覚悟するレベルの宣告を受けていたにもかかわらず、福助さんは杖なしでも歩けるようになり、単語しか発せなかった言語能力も飛躍的に回復されていました。
そして歌舞伎公演への復帰が発表され、稽古に打ち込まれました。
そしてとうとう、発症から8年ほどして舞台に復帰されたのです。
正直これには驚きました。それこそ血のにじむような努力をされたと思います。その精神力には本当に感動しました。

何が舞台復帰を後押ししたのか

さて、見事に復帰をされた福助さんですが、何が彼をそこまで動かしたのでしょうか?
それは何と言っても本人さんの執念でしょう。何が何でも復帰してやる!という決意だと思います。
それに加え、周囲の後押しも重要だったと思います。福助さんの場合、奥さまの熱意が尋常ではない印象を受けました。歌舞伎役者・中村福助の復活に対し熱い思いをもって後押しされたのではと思います。

まとめ

このブログでも触れたことがありますが、回復の程度は本人さんの意志の力に比例すると考えます。福助さんの奇跡的な回復の過程を見ていて、改めて思いました。
ワンプラスでも、様々な年齢、障がいの程度を持った方がリハビリに取り組まれています。中には若い世代の方もいらっしゃり、主婦として現役だったりお子さんが小さくてまだ働かなくてはならなかったりする背景を持った方もいらっしゃいます。
そういった方は、正直に言って目の色が違います。なんたって使命がありますから。「生活のために私が動かなければ」という強い意志を感じます。
そんな方の回復の度合いは、やはり違うものがあると感じます。
今回見た福助さんの努力と成果をワンプラスの利用者さまへ伝え、また明日から頑張っていこうと思いました。
ちなみに、今回見た番組のサイトは、以下の通りです。興味があればどうぞ。
https://www.youtube.com/watch?v=buc_r5H5Uj0

「意志あるところに道は開ける」リンカーン大統領の言葉をかみしめながら明日から頑張ろうと思っている私が運営するワンプラスは大阪府寝屋川市にあり、脳梗塞・脳出血後遺症に対し川平法(促通反復療法)をマンツーマンで行っているデイサービスです。
大阪周辺には、自費で出張リハビリも行っています。
https://oneplusreha.com/addaccess

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